午前2時。
天井を見つめている。エアコンの音だけがやけに大きい。スマホの通知はとっくに止まっていて、Xのタイムラインも「おやすみ」で埋まっている。
──なのに、眠れない。
こういう夜、ある。理由なんてない。明日が嫌なわけでもないし、悩みがあるわけでもない。ただ、なんとなく。自分の中の何かが、まだ今日を終わらせたくないと言っている。
そんな夜に、俺はFANZAを開く。
抜きたいわけじゃない(いや、少しはある)。でもそれだけじゃなくて、深夜のあの空気の中でしか響かない作品がある。昼間に観たら「ふーん」で終わるものが、午前2時にはなぜか胸に刺さる。
今日は、そういう3本の話をしたい。
1本目:八木奈々 ──「あの夏」が、ここにある



八木奈々。年間200冊本を読む、知性派の美少女。
「10年に1人の純真ピュア美少女」とデビュー時に言われた彼女だけど、俺がこの作品に惹かれるのは、そういうキャッチコピーの話じゃない。
田舎。夏。初めての彼女。やることがない。だからずっと一緒にいる。
このシチュエーション、刺さる人には致命傷だと思う。
あの頃──実際にあったかどうかは関係ない──「こうだったかもしれない夏」の空気が、この作品にはある。蝉の声が聞こえてきそうな画面の中で、八木奈々がただそこにいる。
2021年の作品だけど、2023年にFANZAランキングで再浮上した。つまり、時間が経っても人が戻ってくる作品ということだ。
午前2時に観ると、ノスタルジーで溺れる。
2本目:古川いおり ──引退前の、最後のラブレター



古川いおり。SOD star。10年間のキャリア。「変幻自在の演技力」と評された、ドラマ派の女優。
2022年12月に引退した。
この『Make Love』は、引退を控えた彼女が撮った最後のドラマ作品だ。
タイトルをもう一度読んでほしい。「たくさん遠回りしたけれど、大好きな彼との愛し合うSexが結局一番幸せ」。
……これ、古川いおり自身の10年間じゃないか?
AV女優という仕事の中で、数えきれないほどの「演じたセックス」をしてきた人が、最後に撮ったのが「愛し合うセックスが一番幸せ」という作品。フィクションなのに、どうしてもドキュメンタリーに見えてしまう。
もう新作は出ない。この人の「最後のドラマ」を、深夜に一人で観る。それは贅沢なのか、切ないのか、よくわからない。
でも、午前2時には、そのよくわからなさが心地いい。
3本目:蓮実クレア ──帰ってきた女



蓮実クレア。「痴女のカリスマ」。
2022年に引退して、新宿でバーを開いた。BAR蓮実クレアB。夜の街で、カウンター越しにお客さんと話す生活を選んだ。
──のに、帰ってきた。2026年2月、MOODYZ専属として復帰。
「なぜ戻ったんだろう」。
深夜にこの作品を観ながら、そんなことを考える。バーの経営が上手くいかなかったのか。それとも、やっぱりカメラの前が好きだったのか。本当の理由なんて、本人にしかわからない。
でも、「一度辞めたものに、もう一度戻る」という行為には、独特の重みがある。
FANZAレビューには「熟成されたエロス」「磨き抜かれた完成度」とある。★4.36。引退前より高い。
人は、離れている間にも成長するのかもしれない。
深夜のエンドロール
3本とも、テーマは「時間」だ。
八木奈々は「戻れない時間」。古川いおりは「終わる時間」。蓮実クレアは「戻ってきた時間」。
昼間にこの記事を読んでいる人は、たぶん「ふーん、いい作品なんだな」で終わると思う。それでいい。
でも──もし今、午前2時で、天井を見つめていて、なんとなく今日を終わらせたくないなら。
スマホの明るさを少し落として、どれか1本、再生してみてほしい。
抜くとか抜かないとか、そういう話じゃなくて。深夜にしか開かない感情のドアが、たぶん、ある。
おやすみ。





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